冬に欠かせない「カイロ」について、多くの人が日常的に使っていますね。
「カイロ」はカタカナでよく見かけますが、この言葉は漢字でどう表されるのか、またどんな意味があるのでしょうか?
世界中で使い捨てカイロが日本だけに限られていると聞きますが、果たしてその通りなのでしょうか?
この記事では、カイロの歴史や、よくある疑問に答えていきたいと思います。
カイロの漢字と意味とは?
カイロは「懐炉」という漢字で表されます。
「懐」は衣服の胸の内側部分を指します。
「炉」は暖をとるための火を燃やす場所を意味します。
この懐炉(カイロ)は、熱を発する化学反応を利用したり、熱を保持する素材を用いたりして、体を暖める道具です。
カイロの歴史
カイロは元々「温石」として知られていました。
温石とは、石や砂を暖めて布で包み、懐に入れて体を温める日本特有の道具です。
これが平安時代から江戸時代にかけて使われ、その使い方から「懐炉」と呼ばれるようになりました。
明治時代に入ると、「灰式カイロ」が開発されました。
このカイロには「懐炉灰」が使われます。懐炉灰は桐や麻殻、わらを炭化した固形燃料です。これを金属製の容器に入れて点火し、使用します。
「桐灰化学株式会社」という企業は使い捨てカイロで知られており、灰式カイロに桐の懐炉灰を使用したことから「桐灰」と名付けられました。
ベンジンカイロの登場
大正時代に「ベンジンカイロ」が市場に出ました。
これは「白金触媒式カイロ」とも呼ばれています。
このカイロは、ベンジンが気化し、プラチナの触媒作用で炭酸ガスと水に変わります。この化学反応で発生する熱を利用する仕組みです。
そして、昭和53年には、日本純水素(現・日本パイオニクス)が開発した使い捨てカイロが登場しました。
ロッテ電子工業(現在のロッテに吸収合併された)が「ホカロン」という商品名で販売を開始。
昭和63年には、貼るタイプの使い捨てカイロが発売され、現在では靴下用や肩用、お腹用など様々な形状のカイロが市場に出ています。
平成12年には、電子レンジで加熱するカイロが開発されました。
これはゲル状の保温材やセラミックビーズ、小豆などを使い、電子レンジで温めることで熱を蓄えるタイプです。何度も再利用可能です。
平成18年には、電池式や充電式のカイロが出てきました。
これらはスイッチ一つで簡単に温度調節ができ、使い捨てる必要がなく、環境にも優しいですが、一般的な使い捨てカイロに比べて温度が低いというデメリットもあります。
使い捨てカイロを使っているのは日本だけ?
使い捨てカイロは日本発祥で、今では世界中で使われていますが、海外では主にスポーツやアウトドア活動で使用される特別なアイテムとして扱われています。
日本のように日常的に使われることは少なく、広く普及しているとは言えません。
海外での販売点はスポーツ用品店、アウトドアショップ、または日本食を扱う店舗に限られていることが多いです。
使い捨てカイロが温かくなる仕組み
使い捨てカイロは通常、個包装されており、開封して振ると温かくなります。
このカイロが熱を発するのは「酸化」という化学反応によるものです。
カイロに使われる鉄粉は、袋から出すと空気の酸素と反応し、酸化することで熱を発生させます。
この反応を効果的に進めるために、水や保水材が加えられています。
袋の中では鉄粉が酸素に触れないため、熱を発生しません。
鉄粉単独では反応が遅いため、他の材料と共に入れることで反応速度を早めます。
開封後にカイロがすぐに温かくなりますが、鉄粉と空気の酸素がより効果的に混ざるように、軽く振ることが推奨されています。
使い捨てカイロの種類
使い捨てカイロには、様々なタイプがあります。
- 非貼付タイプ:ポケットに入れて持ち運ぶ用です。
- 貼付タイプ:衣服の内側にシールで固定して使用します。
これらは特定の用途に合わせて異なる形があります。
- 靴下用:足裏やつま先を温める設計です。
- 首・肩用:首元や肩を包み込む形状になっています。
- お腹用:優しい温かさでお腹を温めるため、温度設定がやや低めです。
使い捨てカイロの温度設定は次の通りです:
- 非貼付タイプ:約57度~68度
- 貼付タイプ:約40度~48度
貼るタイプは皮膚に直接触れないように低温で設計されており、低温やけどを避けるため衣服の上から貼ることが推奨されます。
貼るタイプはどこに貼ると効果的?
使い捨てカイロを貼るタイプは、どの部分に貼ると特に効果的でしょうか。
ここでいくつかの推奨箇所を紹介します。
どの場所も、直接肌に貼ることは避け、衣類の上から貼ることが大切です。
効果的なカイロの貼り方
●首の後ろ
首の後ろには太い血管が走っており、この部分にカイロを貼ると身体全体を効率的に温めることができます。首に直接触れないよう、マフラーやスカーフにカイロを貼って使用すると安全です。
●腰
腰にカイロを貼ることで、腰痛の軽減や冷え対策に効果的です。
●足首
足首近くのくるぶし付近には血管が集中しています。ここにカイロを貼ると、足先まで温かくなります。
●足裏
足の裏には多くの血管が通っており、カイロを貼ると血流が良くなり、冷えやむくみが改善されることが期待できます。
●背中から腰にかけて
背中から腰にかけてのカイロの貼り方は「うさぎ貼り」と呼ばれ、一般的なカイロを横向きに1枚と、ミニサイズのカイロを縦向きに2枚使用します。この方法は脊柱起立筋を温め、下半身の保温に効果的です。
●肩甲骨の間
肩甲骨の間にカイロを貼ると、この部分を流れる大きな血管を温めることができ、体全体が暖かくなります。
●仙骨
仙骨周辺を温めることで、副交感神経が活性化され、リラックス効果が得られます。ただし、寝ている間はカイロを貼ったままにすると低温やけどのリスクがあるため、使用中は注意が必要です。
寝る前には必ずカイロを剥がすようにしましょう。
使い捨てカイロの捨て方は?
皆さんがよく疑問に思う「使い捨てカイロは何ゴミに分類されるの?」という問題ですが、使い捨てカイロは、使った後も新品でも、地域によっては燃えるゴミになる場合と燃えないゴミになる場合があります。
ご自身が住んでいる地域のゴミ分別ルールを確認してみてください。
また、使い捨てカイロは使用後に高温になるほどの熱は持続しないため、温かいうちに捨てても安全です。
まとめ
使い捨てカイロが普及したのは昭和時代からです。
その起源となる「温石」は、平安時代から使用されていたことがわかっています。
昔の人々も私たちと同じように冷える季節に対応しようと、さまざまな方法で暖を取っていました。
現代では使い捨てタイプだけでなく、電池や充電式のカイロも選べるようになりました。
それぞれのシチュエーションに合わせて選び、冬の寒さを快適に乗り切りましょう!